開発ストーリーNo.3
両面さらさらマルチパッド
紙おむつと「尿」と「便」
世の中の紙おむつ、 「尿とりパッド」 「おしっこ○回分」 など、
パッケージにたくさん書かれていますね。
しかし、私たちの体から排出されるのは「尿」だけでなく、「便」もあります。
一般的な便は、ふつう「固形便」の形状になります。しかし、大人用紙おむつを使う方で、特に寝たきりの方や、点滴で栄養を取られる方は、便の形状は固形ではなく、液体状の「水様便」になります。 この「水様便」、実は、紙おむつで吸収することが非常に不得手でした。そのため、病院施設の方から、『水様便を吸収できる紙おむつはないのかしら?』と言われ続けておりました。
なぜ、吸収できないのか?
紙おむつの構造は3層構造になっており、3層構造の中で肌に触れる側は「トップシート不織布」と呼ばれています。
紙おむつの構造についてはこちら
しかし、「水様便」は便中に含まれる固形物が、トップシート不織布の表面を潰してしまいます。
そのため、便中に含まれる水分や尿がトップシート不織布の網目を通過することを阻害し、吸収できずに「便モレ」に繋がっていました。
探せ!トップシート素材
まずは、トップシートの網の目が大きく、固形物で潰れにくい素材を探し始めました。
開発スタッフは、来る日も来る日も疑似便を作り、さまざまな素材に垂らし続けました。
検討した素材は何十種類にも及びます。
例え、疑似便のろ過性が高い素材を発見したとしても、肌に触れるトップシート素材のため、肌触りが悪いと不採用となりました。
その中で、唯一、疑似便のろ過性が高く、肌触りが柔らかな素材を発見したのが、商品に採用された不織布になります。
※是非触ってみてください。非常に柔らかくて気持ちいいです。 商品購入ページ
この素材を、「水様便」対応の紙おむつにしようとすることにしました。
探せ!最適な使い方
紙おむつといっても、テープ止めやパンツタイプのアウタータイプ、大判パッドや小判パッドなど、さまざまな種類があります。
今度はこのトップシート不織布を使用して、「どんな紙おむつにすることが便モレに効果があるのか?」を検討する必要がありました。
まず、開発スタッフは、病院施設にアンケートを実施し、「便モレはいつ、どのような時に発生しているのか?」を調査いたしました。
そこで、分かったことは、便モレのタイミングは把握できないということでした。そのため、便モレ専用の紙おむつを開発したとしても、いつ、どのタイミングで使用したら良いのか分からず、使いにくいとのことでした。
「便モレ対策」以外の使い方ができる紙おむつにしなければ!
開発スタッフがここで着目したのが、紙おむつの中でも特殊品になる「両面吸収タイプ」でした。これは、紙おむつのどこからでも吸収できるのが特徴で、丸めたり、折り畳んだり、さまざまな使い方ができる紙おむつです。
このタイプの紙おむつを便モレ対策パッドにすると、「便モレ」はもちろん、「男性用」や「尿の勢いが強い方」などさまざまな人に使用することができました。
苦節5年!完成!両面さらさらマルチパッド
トップシート不織布に便のろ過性が高く、肌触りが非常に良い不織布を採用しました。
そして、トップシートの下にはさらにもう1枚、便のろ過性が非常に高い、かさ高不織布を配置し、ろ過性をさらに高めています。
便モレにはもちろん効果がありますが、その他にも、紙おむつ内のムレ率を下げる効果や体圧分散効果が見られました。 詳しくはこちらのPDFをご覧ください
そして病院施設では「便モレに是非使用してみたい」「柔らかくてお肌の弱い人にもあんしん」など嬉しいお言葉をいただきました。
私たちは皆さまの快適な生活のために、決して諦めません。
カミ商事では例えどんなに難しいことでも、利用者様がお困りであること、介護者様がお困りであることに対して真摯に取り組ませていただきます。
そんな強い意気込みを持って今日も研究開発を続けております。